経営者のためのIT用語

IT用語もインターネットで検索すればかなり正確な定義が分かりますが、ここでは中小企業経営者が都度調べるのではなく、覚えておかないとITに関して意思決定する際に厳しいだろうと思われる用語を挙げました。
正確な定義というよりは「概ねこんな感じ」という記述が多くなりますので、正確にお知りになりたい場合は別途検索してみてください。

■基本的な整理: 情報システムとIT、ICT

まず、ITとICTですが、特に断り書きがない場合は同じと考えて差し支えないと思います。以下、「IT」を使用します。
「システム」とは多くの構成要素が連携して動作するという意味合いがあり「IT」とは別の概念ですが、「情報システム」は「IT」という概念に包含されます。
また、「システム」は「情報システム」の略でもよく用いられます(私も使います)。
難しいのは、情報システムとITの使い分けで、正確な会話を試みようとすると悩むことがあります。
ITを利用する企業において「システム開発」とはいいますが、「IT開発」とはいいません。しかし、「システム導入」の代わりに「IT導入」といってもおかしくないのではないでしょうか。
「システム」とは一かたまりで一定の目的とする機能を果たすものとして使われ、「IT」は技術そのものや、情報通信技術を使って作られたモノ、さらにそれを組み合わせたシステムまでをも含む概念として考えれば良いかと思います。
言葉はコミュニケーションのための手段ですから、相手と意思疎通ができなければいかに正確な定義の用語を使っても相手が誤解しては意味がありません。ITの世界にはこのような用語が山ほどあります。誤解を招きそうな場合は用語の意味するところを確認しながらコミュニケーションすることを心がけてください。
私も常日頃心がけていかなければと改めて思う次第です。

■経営管理とITをつなぐ用語

1.SFA(エスエフエー、Sales Force Automation)

ITを駆使して企業の営業部門を効率化すること。また、そのための情報システム。
「営業支援システム」のようなものをイメージすればいいかと思います。
顧客という相手があることですので、最近では下のCRMと合わせて検討されるケースが多いようです。

2.CRM(シーアールエム、Customer relationship management)

顧客に関する取引情報を整備して顧客との関係を構築しようとする仕組み。

3.ERP(イーアールピーEnterprise Resource Planning)

生産管理業務、販売管理業務、会計管理業務、人事管理業務など、企業内の基幹系情報処理システムを統合的に管理して、重複作業や無駄をなくし効率化を図ろうとする経営手法。
もともとは経営手法を示す用語ですが、ERPを実現するためのパッケージソフト(ERPパッケージ)が大いに普及したため、IT業界内での会話では、「ERP」が「ERPパッケージ」を指すことも多くあります。

4.EDI(イーディーアイ、Electronic Data Interchange )

電子情報を交換する取引形態。
注文、請求、在庫などの情報交換をします。高度な企業連携を行うためには欠かせないITの利用形態となっています。

5.BI(ビーアイ、Business Intelligence)、ビッグデータ

BIは、業務処理システムなどから生み出される企業内のデータを、蓄積・加工・分析して、企業の意思決定に活用しようとする手法。
最近雑誌などで流行っている「ビッグデータ」は、販売などの業務処理データにとどまらず、位置情報、機械のセンサー情報、画像、映像など幅広いデータを対象とするものです。目的はBIと同様だと思われますが、色々な意味に使われています。

■一般的に普及してきている利用形態に関する用語

1.クラウドASP(エーエスピー、Application Service Provider)

__SaaS(サース、Software as a Service )、IaaS(アイアース、アイエイエイエス、Infrastructure as a Service)

クラウドはクラウドコンピューティングとも言われ、インターネットを介してPCのブラウザからさまざまなサービスを利用する概念のことです。
ASP、SaaS、IaaSは、クラウドのサービスの形態の種類であり、ASP、SaaSは業務処理ソフトウェアをネットワーク経由でサービスする形態、IaaSは仮想マシンやストレージをサービスとして提供するものです。
前者は企業で自社のサーバーを使う販売管理システムなどを導入することの代替となるものであり、後者はサーバーの代替となるものと考えればいいでしょう。
クラウドの形態には上の3つ以外にもありますが、ここでは取り上げないほうがいいでしょう。

2.SNS(エスエヌエス、Social Networking Service)

人と人とのつながりを促進・サポートするコミュニティ型のWebサイト。 Facebook、Mixi、LINEなどが有名です。

3.BYOD(ビーワイオーディ、Bring Your Own Device)

企業などで従業員が私物の情報端末などを持ち込んで業務で利用することをいいます。

■技術的用語だが知らないと経営活動に支障を来たす用語

1.WWW(ワールドワイドウェブ、World Wide Web )

インターネット網をいいます。

2.Webサイト

WWW上で提供されるホームページなどの情報の集まりのことです。

3.IP(アイピー、Internet Protocol)

インターネットで通信するための規約のことです。ネットワークに参加している機器の住所や、相互に接続された複数のネットワーク内での通信経路の選定をするための方法のことです。
IPを使用したネットワーク上の住所をIPアドレスといいます。

4.ブラウザWWWブラウザインターネットブラウザ

WWWをを利用するためのソフトウェア。IE(インターネット・エクスプローラ)など、様々な製品が普及しています。

5.URL(ユーアールエル、Uniform Resource Locator )

IPアドレスを人間が識別しやすいようにつけた別名。ブラウザではURLを入力することで、目的のIPアドレスのページを表示することができます。

6.ISP(アイエスピー、Internet Services Provider)

インターネット接続業者。日本ではOCN、ソフトバンクなど。
一般企業ではインターネットに接続するためにはISPのサービスを利用する必要があります。

7.LAN(ラン、Local Area Network )

同一構内でIT機器間のデータを、ケーブル(LANケーブル)を介して伝達する仕組みです。一般企業でもLANケーブルを購入してコンピュータを接続することで構築できます。

8.WAN(ワン、Wide Area Network)

拠点間をつなぐネットワークのことです。WANによりLAN同士がつながれたり、LANとサーバーがつながれたりすることになります。
拠点間をつなぐには通信事業者が提供する通信回線を利用する必要があります。ISPが提供するインターネット用回線を使うこともあります。

9.VPN(ブイピーエヌ、Virtual Private Network)

一つの企業内に閉じたWANを構築するには、インターネット利用者や他企業からのアクセスができない仕組みとする必要があります。専用の通信回線は非常に高価なので、コストを低減するために共用のネットワークやインターネットに流れるデータを暗号化し、仮想的に自社専用に利用できるようにする技術やサービスをVPNといいます。

■システム導入、管理にかかわる基本用語

1.システム企画

新たな情報システムや業務改善のために、何を作る(装備する)べきかを考案し、その実行のための計画を立案することをいいます。

2.要件定義要求分析

業務改革や改善に関する要求事項を収集し整理することを要求分析といいます。
要件定義は、要求事項を踏まえて、新たな業務や情報システム(IT)はどうあるべきかを取りまとめて組織的な合意とし、社内、社外関係者が分かるように文書化したもの、またはその作業のことをいいます。
要件定義には業務フロー、業務記述書、画面・帳票イメージなどが多く使われます。
要件定義があいまい、不十分な場合、目的とした情報システムが手に入らないだけではなく、費用の高騰、業者とのトラブルの原因ともなるため注意が必要です。

3.IT調達

要件定義を含む場合もありますが、主体となるのは新たな情報システムのために必要な物件の開発委託先、購入先を決定し、契約を締結することをいいます。

4.RFP(Request For Proposal、提案依頼書)

IT調達において、複数の受託者候補に対し、調達したい物件の要件、提案・見積り手続き、その他の情報提供依頼を記載して、提案・見積りの提示を依頼するものです。

5.保守

情報システムを構成するハードウェアやソフトウェアが稼動し続けるためにおこなう維持作業のことをいいます。
ハードウェア故障やソフトウェア不良時の修復、予防的な部品交換、利用状況変化に対応するための改善などがあります。

6.システム運用

情報システムを稼動させていくための日常的な作業全般を指すものです。
一般的には起動停止、データバックアップなど定時の作業、稼動監視、ヘルプデスクなどがあります。

7.システム管理

情報システムを長年稼動させると、利用状況の変化、機器やソフトウェアの障害や保守期限切れなど様々な事態が発生します。これらに対応するために体制を整備し、必要な施策を実施していくこと全般を一般的にシステム管理といいます。

8.ITベンダー

ITに関係するハードウェア、ソフトウェア、サービスを販売、提供する事業者を一般にこう呼びます。

9.カスタマイズ

パッケージソフトの導入において、パッケージ既成の機能の一部を、導入する企業専用に改修することをいいます。

10.アドオン

パッケージソフトの導入において、パッケージ既成の機能に、導入企業専用の機能を新たに追加して開発することをいいます。

11.移行

情報システムの導入プロジェクトにおいて、既存のシステムや業務から、新規のシステムや業務に乗り換えることをいいます。
具体的には、データの移行、業務教育、システム操作教育などの活動があります。

12.カットオーバーサービスイン本番稼動本稼動

いずれも旧業務、システムをやめて、新規業務、システムを開始する意味で使われます。

(文責:山田一彦)