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1月 04

027構成管理はさまざまなシステム運用管理の基本データ

組織のIT担当者にとって、ITシステム構成のデータをタイムリーに正しく維持することは、利用者からの問合せ応答、システム障害対策、システム構成の変更など、システム運用管理の多くの活動を誤らずに行なうための前提となる。管理対象データの範囲や深さなどにより、やり始めるとかなりの負担となることもあるが、優先度をつけて重要な情報からしっかりと管理していくようにしたい。

□ システム構成の情報が管理されていないために起こる問題
新たなシステムの導入に際して、社内のネットワークを増強しようとしたが、今、何がどうなっているかがわからないため、先ず、現状の情報の整理からおこなった、という話はよく聞く。また、パソコン用のソフトウェアを、以前購入して今は誰も使用していないことがわからなかったために、また買ってしまったというようなこともよくある。これらは、システム構成の情報が管理されていないために起こる問題である。

□ 構成管理の有効性
会社が保有している情報システムのハードウェア、ソフトウェアには何があり、どのような関係になっているかの情報を構成情報という。構成情報を実態と合わせて正しく維持する活動が構成管理であり、さまざまなシステム運用管理活動を、迅速に、かつ誤らずにおこなうための前提となる。
たとえば、会社全体でパソコンが100台あるはずで、それぞれ、いつ、いくらで購入し、どんなソフトウェアが入っていて、今どこに置いてあるか。このような情報を管理しておくのはなかなか大変である。しかし、これが管理されていれば、新しい情報システムを導入するに際して、買い換えをしなければならないのが何台なのかもすぐに分かるし、どこかで必要といっているパソコンソフトが購入済だが利用していないことも調べやすいので、新たに買わなくても済むかもしれない。
また、新たなシステムの導入を検討する際に、会社全体でのシステムの役割分担や、システムからシステムへのデータインタフェースの設計検討にも使える。
さらに、システム障害が発生した際に、ITベンダーに対応を依頼する場合でも、「OSの種類、バージョンが何で、サーバー機種はこれこれで製造番号はこれ」、と正確な情報を伝えられれば対応も早い。
システム構成情報は、資産管理、システム企画、システム障害対応にも使える有用なデータなのである。

□ 構成管理の対象物
構成管理で対象とすべき情報はかなりの幅があり、広く対象とすれば、障害時の記録と障害対応の展開の自動化につかえるなど有効性も広がるが、その分管理も大変になる。
以下のような情報が管理対象の候補となる。
①パソコン一覧
②サーバー一覧
③情報システム一覧
④各情報システムのプロファイル
⑤利用サービス、保守契約一覧
⑥ソフトウェアライセンス一覧
⑦ITベンダー一覧
⑧ネットワーク構成図
⑨ネットワーク機器一覧
⑩問合せ応答記録
⑪トラブル記録
⑫システム変更依頼
⑬システムリリース依頼、記録

上記のうち、③の情報システムプロファイルは、システム設計書の概要部分で代替してもよい。⑧のネットワーク構成図には、ルーターやファイアウォール機器で行なうアクセス制限などの設計情報を含める場合もある。

□ 構成管理を始めるためのポイント
この全てを中小企業において、少人数の、または他業務と兼務の担当者が管理するのは大変である。基本的には以下のように考えて整備してゆくことをおすすめしたい。

(1)上記①から⑨までは、掲載データ項目は少なくても先ずは一通り揃えておきたい。
(2)機器やソフトウェア一覧の掲載データ項目で重要性が高いのは、機種名、設置場所、導入年月日、価格、購入先である。EXCELを使って作成すればいいだろう。
(3)情報システムは、どこまでのくくりを一つのシステムとするかは難しいが、使われている単位で先ずは作ってみる。
(4)ネットワーク構成図は拠点の建物、フロア毎の概略図で、どこに何が置いてあるかという物理的なものと、回線サービスの種類が記載された全社の論理的な図があるとよい。
(5)⑩~⑬については、掲示板、メールのやりとり、簡単なメモなどでもいいので、なるべく残すように努力する。
(6)上記のような一通りのものが揃ったら、変更に合わせてタイムリーに更新する。タイムリーな変更で漏れがでる恐れがある場合は、年に一度、実態との対応関係を棚卸しする。
最初の段階では以上のような形ができれば上々である。以後は実際の管理のニーズに合わせて少しずつでもよいものにすることを心がけて欲しい。
(2012.4.6 執筆:山田一彦)