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1月 04

026ITコストマネジメントは積極経営の基礎となる

ITのコストマネジメントは、不要な通信回線契約を取りやめたり、本番稼働していないサーバーの保守契約を打ち切ったりして、費用対効果の低いIT資源を適切なものとするのも目的となる。ITコストマネジメントは、コストの把握と整理が活動の基礎となる。会社が苦しいときのコスト削減も、新たな投資のための費用の捻出も、コストの整理ができていれば優先度を誤らないで適切におこなえる。

□ ITコストマネジメントの特徴
会社の業績や先行きが思わしくないことから、ITへの支出も削減が必要になる場合、どんな用途の何にいくら費用がかかっているかがすぐに分かるようになっているだろうか。決算をしてみて情報関連の費目の合計が分かるという程度では、適切な判断に基づくコスト削減はできない。いざというときの事業継続のための重要な資源を手放してしまったり、これからの成長の芽を摘んでしまったりすることになりかねないからだ。
ITのコストマネジメントは、IT以外のものと基本は変わるものではない。日常の費用の支出を把握するとともに、固定資産となる大きな支出は減価償却や期間回収により期間経費として把握することで、収支を評価する。
しかし、他の経費と異なり注意したい点が3つほどある。一つめは、製品や価格の動きが激しいことで、数年前に比べて性能が良くて安いものが次々に出てくるため、更新した方が有利なケースがあることだ。二つめは、多くの事業や業務に共通の基盤となるIT資源については、収益との対応関係がとりづらいこと。三つめは、情報システムにはソフトウェア改善のような追加投資が多く、実際の総コストが把握しづらいことだ。

□ ITコストマネジメントへの経営ニーズ
経営から見たITのコストマネジメントには以下の4つのニーズがあると考えられる。

(1)事業、プロジェクトの収支評価、業務生産性把握の基礎データとしてのニーズ
月間、年間の売上との対比や、注文1件あたりのコスト把握、事務の1単位あたりのコスト把握などを算出して、事業所毎や前年対比などの評価によって経営の打ち手を考える基礎にするものである。コストデータが評価対象である期間や事業所、プロジェクト、業務領域に対応していないと評価できない。

(2)全社的なコストダウンを進める上での検討対象としてのニーズ
情報システム投資の特徴として、情報システムの増強が必要なときには新たなコストに対する意識は高いが、業務が衰退してくると減らそうという意識にはなりにくい。例えば、Webでの売上が伸びているときはレンタルサーバーを2台、3台と増やしていくが、売上が減っていくときには減らす方向にはなかなか意識が向かない。この意識が強くなるのは会社全体や事業の収益が怪しくなり、コストダウンの必要性がハッキリしてきたときである。
この場合、ITのコスト一つ一つについて、無くせないか、減らせないか、他と一緒にできないかという観点で評価する必要がある。個々のコスト項目についての費用対効果やセキュリティ面などの必要性が把握できている必要がある。

(3)新たなIT投資のための費用捻出元としてのニーズ
現代は、旧態依然たる事業モデルをそのまま継続するということは難しく、試行錯誤を繰り替えてしては、新たな事業の鉱脈を見つけようとする取り組みも多い。その費用捻出のために、上記(2)のような活動を行なうと同時に、過去に行なったが軌道に乗らなかった取り組みの清算や、資源再利用ということも選択肢としては有望である。

(4)予算管理のため
予算に対する実績を正しく把握し、次年度予算のデータとするために、予算は正確に把握したい。

□ コストの把握、整理のポイント
以上のようなコストマネジメントニーズに応えていくには、経営として必要になった時点でデータをかき集めるだけでは、不十分となることも多い。例えば、基幹システムの月間コストを算定するには、初期投資額を5年や3年で按分した期間コストに加え、稼働後に加えられた追加開発コストや追加で契約したサービス、ハードウェアのコストなども期間コストとして整理されてなくてはならない。
また、コスト削減検討で支出項目を洗っている際に、何のための通信回線なのか分からないものの支出が出てきて、やめるにやめられないということもある。
つまり、十分なコストマネジメントをするためには、支払先と、現金の支出額が把握できているレベルではダメだということである。
次のような日常的な管理と、整理が必要だ。

1.案件とコスト項目のヒモづけ
支払のおおもととなる案件、すなわち物品の購入、継続的なサービス契約締結、ソフトウェアの開発の契約書、見積書などと、発生するコストを結びつけたデータの保管と一覧管理ができるようにしておきたい。

2.コスト項目ごとに期間費用を展開
システム開発などの一時的支出を期間費用に展開すること。これは財務会計の固定資産管理の償却や費用という考え方でやってもいいが、初期費用を3年などで回収するという計算でもいい。

3.コスト項目への属性付加
コスト項目毎の属性を設定する。何システム、何システムの何機能、何プロジェクト費用なのかを明確にする。一つのコスト項目で複数属性を持つことも多い。ただし、最終的に部門経費を算定するためには各システムの部門へのコスト配賦のルールは別途必要となる。
(2012.4.4 執筆:山田一彦)