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1月 04

017パッケージシステム導入でユーザー企業負担が大きい作業とは

新規システム導入をパッケージシステムの利用で行なうことは、費用や信頼性の面でのメリットが大きい。しかし、ITベンダーはあまり言わないこともあるが、導入にあたってはユーザー企業の作業負担も相応にある。一般的に負担が大きくなる部分と、その対応策を考える。

□ パッケージシステム導入のプロセス
ここでは話を分かりやすくするために、パッケージシステムをアドオン開発やカスタマイズ開発なしに、標準機能のまま導入することで考える。
パッケージシステムの導入プロセスは概ね以下のような手順となる。

1.最適なパッケージとITベンダーを選定する
①導入の要件概要を明らかにする
②要件に適合しそうなパッケージシステムを調査する
③調査結果を踏まえて導入要件を固める
④候補となるパッケージを提供するITベンダー(提供会社)に提案依頼、見積り依頼を行なう
⑤ITベンダーからの提案、見積りを受領し、評価する。
⑥パッケージを選定する。
⑦ベンダーを選定し、導入契約(発注)をする。

2.システム規模や業務特性を踏まえたシステム設計を行なう

3.テスト用のマスタデータを作成する

4.導入するシステム環境を設定し、パッケージシステムを組込む

5.テストを行なう

6.本番用マスタデータの作成を行なう

7.本番環境へのデータ移行を行ない、本番を開始する

□ ユーザー企業の負担が大きな3つの作業
ユーザー企業はシステム導入の専門家ではないので、慣れない作業はできるだけITベンダーに依頼するにしても、どうしてもユーザー側でやらなければならないことがある。その中でも負担の大きなものは次の3つだ。

(1)マスタデータ作成
マスタデータはシステムが動作するために必要な、あらかじめデータベースに入れておくべきデータ群のことである。様々なものがあるが、代表的なのは、顧客、取引先、商品、組織などだ。
新たなシステムを導入する場合のマスタ作成作業には、これまでに全くなかったデータを新たに作る種類の作業と、既存のマスタデータに何らかの追加、変更をして作る種類の作業がある。同じ顧客マスタのデータでも、旧システムと新システムでは、桁数やコード体系、項目などが異なるのが普通だからである。

(2)データ移行作業
今は無いデータ、既存システムにあるデータ、今は紙で管理しているデータ、パソコンに入っているデータなど、様々な形態のマスタデータを、新システムのデータベースに入れる作業である。

大きく次の3つの作業形態で実施する。

①移行用データ変換プログラムで新システム用データを作り、入れ込む
②パソコンを使用した手作業でデータ形式を変換、またはデータ作成をし、そのデータを新システムに入れる
③新システムのマスタデータ入力画面を操作して入れる
旧システムが有名なパッケージであれば、新システムのオプション機能としてデータ変換ツールが付属している場合もある。新システム選定時には考慮すべきであろう。

(3)テスト、検証
基本的には、今できていることは全て出来ることが前提で、加えて、新システム導入の狙いである新たな取引や機能、性能の確認を行なう。
しかし、システム担当者はマスタデータ作成に忙しくて十分なテスト時間をとれないまま、本番開始時期に、ということも起こりがちである。マスタデータ作成、データ移行のための作業が、テストのための時間を圧迫してしまうことが多いのだ。

以上がユーザー企業側の負担の大きな主な作業であり、あらかじめ十分に認識した上で計画を策定したい。

□ しくじらず、負担を集中させずに進める策
マスタデータ作成や移行時の作業については、あらかじめ担当部門に作業を割り振って計画的に進めることができれば、負荷の集中による問題の発生は防げる。
また、テストについても、利用部門の担当者に行なう操作研修と兼ねて、実際の取引パターンをテストしてもらえば、研修とテストが効率的に消化できる。事前準備や進め方、テスト仕様の作り方、不具合発見時の対応などについては全体で標準的なやり方を決めておくとよい。
(2012.3.19 執筆:山田一彦)